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【新設法人/個人事業主向け】開業したけど資金がない!調達する方法は?

 

 

「よし、念願の独立だ!」

 

「…。あれ?お金がない…。」

 

なんてことにはならないように計画を立てて開業されているとは思いますが、

予想以上に創業資金がかかってしまったり、計画と差異が出たり、と

上記のようなケースに陥ってしまうことも少なくないでしょう。

 

私は銀行では個人事業主〜中小企業様向けの融資を担当しておりますが、

このパターンは多く見受けられます。

 

そこで今回は、新規開業した個人事業主様あるいは法人様向けに

資金調達の方法をお伝えしていきたいと思います。

 

本当は計画の立て方及びその蓋然性の検証などもお伝えしたいのですが、

キリがないのでそれはまた次回に。

もしご興味がありましたら、しばしお待ちいただけますと飛び跳ねるほど喜びます。

 

 

資金調達の方法は?

結論から申し上げますと、新規開業の場合は以下の調達方法になると考えます。

1.日本政策金融公庫からの借入

2.金融機関(銀行、信用金庫等)からの借入

3.(法人のみ)代表者借入

 

実績や知名度がある場合はファクタリングや私募債、株式公開なんて手法もありますが、

新規開業時は一旦置いておきましょう。

 

それぞれの特色は、

1.日本政策金融公庫からの借入

・審査のハードルがやや低め

・事業計画に準じた融資金額になりうる

・制度によっては低金利

 

2.金融機関(銀行、信用金庫等)からの借入

・サービスが豊富であり、資金調達以外のソリューションにも期待できる

・保証協会付の新規創業資金制度等を用いれば低金利で調達できる

・無担保の場合、融資金額が少額になりやすい

 

3.(法人のみ)代表者借入

・個人の資産が潤沢であれば金利負担なく調達可能

・法人と個人の経営分離ができていないと無保証人での融資が受けられない可能性がある

 

以上の特徴を理解した上で、どの手法を用いるかを判断しましょう。

 

それでは次に申込みに必要な書類を紹介します。

 

申込みに必要なものは?

当然ながら金融機関によって具体的な必要書類は異なりますが、大枠は同じです。

以下の書類は準備して損はないでしょう。

 

1.履歴事項全部証明書(法人)

2.印鑑証明書(法人・個人)

3.決算書/確定申告書(決算を迎えている場合のみ)

4.納税証明書(保証協会付の場合)

5.事業計画書

 

以上を準備した上で、金融機関へ申し込みを行うとスムーズに進むでしょう。

金額の決め方

さぁ、ついに申し込みです。

「えっと…。いくら申し込もう…。」

多くの方がぶつかる壁でしょう。

 

まず、融資(厳密には長期運転資金)の返済原資というのは償却前利益というものです。

字の通り、減価償却費+当期利益 で求められます。

しかし、開業直後のあなたの場合はというと…。

 

すでにお気づきの通り、これが開業直後で借入金額が少額となるケースが多い理由です。

金融機関も当然ながら返せないお金は貸しません。

つまり、妥当な借入金額とは、償却前利益の範囲内となりますので、

①事業計画から償却前利益を算出

②①の金額の範囲内で年間返済額が収まるように計算

という順序で計算すると分かりやすいでしょう。

例えば、

①事業計画では、減価償却費50万円、当期利益100万円の計画→償却前利益は150万円

②当面の人件費、光熱費等を加味すると500万円が必要→500万円を5年返済

 →返済は100万円/年<償却前利益150万円

となるので、借入は現実的でしょう。

 

ただ、ご留意いただきたい点として、この申し込みを通すためには「妥当な事業計画」

であることが条件です。

妥当な事業計画とは、類似したマーケット調査によるものであったり、更にはそれに対してストレスを付加したもの等です。

 

万が一、希望額に達しなかった場合は金融機関(銀行、信金等)と日本政策金融公庫の協調融資という選択肢もありますので、担当者に相談してみてください。

 

まとめ

以上、新規開業の方向けに資金調達の方法をお伝えしました。

なかなかハードルが高いことは紛れもない事実です。

が、一方で手元資金が必要な時期でもあります。

 

我々金融機関はそのような際にこそ上手く活用していただきたいと思っています。

 

そして一緒に町を、県を、日本を盛り上げていけることと信じています。

 

少しでも参考になれば幸いです。

それでは!